こんにちは。今回は、Google Workspaceの過去に発生した障害について調査しましたので紹介したいと思います。
Google Workspaceの導入を検討されている方は気になる点ではないでしょうか。それではどうぞ!
Google Workspaceの障害情報は詳細に報告されている
まず、Google Workspaceのサービス稼働状態はこちらのページで確認できます。
Google Workspace ステータス ダッシュボード
https://www.google.com/appsstatus/dashboard/
こちらにアクセスすると、Google Workspaceの各機能ごとの直近7日のサービス稼働状態がわかるようになっています。
稼働状態は以下のようなアイコンで「利用可能」「サービス情報」「サービス障害」「サービス停止」で分類されます。
「サービス障害」は、部分的な機能が影響を受ける小規模な問題。「サービス停止」は、ほとんどの機能が使えない深刻な障害と理解しておけばよいと思います。
ちょうど28日にはGoogleチャットで問題があったようですね。障害があったアイコンはリンクになっており、さらに詳細な情報を確認することができます。
日本語で記載されていますが、影響範囲や原因、復旧状態などのより詳細な情報はリンクされている英語のページで確認できます。英語ですが、Chromeであれば、右クリック > 日本語に翻訳メニューで簡単に翻訳できます。
以下は、翻訳後の詳細情報です。影響の時間、地域、ユーザー、内容など詳しく書かれています。それにしても、最近のGoogle翻訳は本当に優秀になりました。翻訳後も日本語に全く違和感がありません。
過去の障害情報を調査してみた
さて、本題のGoogle Workspaceの過去の障害情報を調査してみました。
なお、過去の障害情報は先程のステータスダッシュボードページの下部にある「履歴の表示」リンクから確認できます。
調査期間は、2021年3月31日から1年間です。「影響をうけたユーザー」列は、地域が限定されいている場合や、全体ユーザーのXX%といった部分的な影響をうけたケースを「一部」または「地域名」で記載しています。
日付 | 影響を受けた機能 | 影響を受けたユーザー | 期間 | 内容 |
---|---|---|---|---|
2021年4月12日 | Classroom・ドライブ・Meet・スプレッドシート・スライド | 一部 | 2時間44分 | エラーメッセージの表示や遅延 |
2021年4月13日 | Classroom・ドキュメント | 一部 | 26分 | エラーメッセージの表示や遅延 |
2021年6月22日 | 管理コンソール | 全体 | 1時間40分 | サポートケースの作成に時間がかかる。 |
2021年7月16日 | 管理コンソール・Voice | 一部 | 2時間31分 | 管理者の操作によりエラーが表示される。 |
2021年8月19日 | サポート | 不明 | 1時間40分 | Cloud Support APIとContact-Us-Form(CUF)の問題 |
2021年8月25日 | サイト | 一部 | 8時間53分 | エラーによりサイトに接続できない |
2021年8月25日 | Voice | 一部 | 4時間50分 | 着信および発信通話の障害 |
2021年8月26日 | チャット | 一部 | 1時間12分 | 新しいメッセージを送受信できない。 |
2021年9月13日 | Voice | アメリカ | 14時間26分 | SMSメッセージの遅延 |
2021年9月15日 | サポート | 一部 | 2時間59分 | 新しいケースの作成に失敗する |
2021年9月22日 | 管理コンソール | アメリカ | 11時間20分 | Googleからの「支払い失敗メール」が誤って送信された。 |
2021年9月27日 | サポート | 一部 | 5時間45分 | エラーメッセージの表示や遅延 |
2021年10月13日 | サポート | 一部 | 1時間20分 | サポートに返信できない |
2021年10月25日 | Meet | 一部 | 1日6時間 | 再バッファリングによる遅延 |
2021年11月12日 | Gmail、グループ、カレンダー、タスク、チャット | ヨーロッパの一部 | 1時間56分 | アクセス不可 |
2021年12月8日 | カレンダー、Meet | 一部 | 1時間40分 | HTTP500エラーが発生 |
2022年1月20日 | Vault | 全体 | 19時間8分 | Valtのエクスポート時にHTTP403エラーが発生 |
2022年2月10日 | サポート | 全体 | 6時間5分 | 管理コンソールの連絡先サポートウィジェット読み込まれない |
2022年3月16日 | サポート | 一部 | 1時間43分 | 新しいケースの作成に失敗する |
2022年3月22日 | Gmail、Meet、ドライブ | メキシコおよび中央アメリカ | 1時間45分 | エラーメッセージの表示や遅延 |
2022年3月28日 | チャット | 全体 | 12時間4分 | 新しいスペースが作成できない。 |
Google Workspaceの障害は意外と多い?
上記の調査結果をみると、月に1件以上は障害が発生しており、通常のWebサービスに比べると多いと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、Google Workspaceで提供している機能の数は、Gmailやドライブ、ドキュメントなどのコア機能とその他関連機能を合わせると60以上もの機能(アプリ)があり、日々それらはアップデートされています。さらに、それを世界規模で稼働させている事を考えると、Webエンジニアである私からすると、とても少ない障害件数だと感じます。
また、障害の大小かかわらず、障害発生後は必ず「今はこういう状態で、何時までに次の情報をアップデートする」という報告を繰り返す形式になっており、障害の状況と今後がわからないユーザーからすると、とても安心できます。
これは、Google Workspaceだけではなく、Googleが提供しているサーバーサービス Google Cloud Platformの障害時も同じ方式となっていますので、おそらくGoogleの障害報告ルールなんだと思います。
システム開発経験者の視点から言わせていただくと、システムは100%障害が起こります。もちろん、障害を発生させないようにすることも大切ですが、障害が発生した後いかに立ち振る舞うか、もシステム提供者として重要なポイントです。
Googleはそういった面においても、システム規模と実績に裏打ちされたプロフェッショナルな集団なんだなと感じています。