導入・設定ガイド

一部の社員だけGoogle Workspaceを導入する方法

都市の街並みの上に、メール・パソコン・スマートフォン・鍵・歯車などのアイコンがネットワークでつながるイメージ
目次
  1. Google Workspaceは一部の社員でも利用可能
  2. 今のメールサーバーから転送する方法は2つ
  3. 導入方法
  4. メールのDNS設定(MXレコード)は変更しない
  5. 今のメールサーバーで転送を設定する
  6. 受信ゲートウェイを設定する
  7. テスト送信して確認する
  8. 全社導入に切り替えるとき
  9. まとめ

こんにちは。

導入時のお問い合わせで、「Google Workspaceを導入したいが、まずは一部の社員だけ利用することは可能か?」というご質問をよくいただきます。

たしかに、無料お試しの14日間では期間が短くて十分な検証ができない、という方もいらっしゃるかもしれませんね。今回ご紹介する方法では、一部ユーザー分の料金こそかかりますが、有効期限はないためじっくりと検討することができるのでおすすめです。

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Google Workspaceは一部の社員でも利用可能

Google Workspaceは一部の社員だけ利用することもできます。ポイントになるのはメールの受け取り方で、同じメールドメイン(例:@example.com)のまま一部の人だけGmailを使う構成には、Googleの公式ヘルプで紹介されている次の2つの方式があります。

方式主系(MXレコードの向き先)メールが届く場所向いている場面
分割配信Google(Gmail)受信者ごとに、Gmail または 今のメールサーバーのどちらか一方Gmailを主系にして、移行していない人の分だけ今のサーバーへ振り分けたいとき
二重配信今のメールサーバー(パイロット時)同じメールが、今のメールサーバー と Gmail の両方今のメール環境を変えずに、一部の人だけGmailを試したいとき

つまり、同じドメインでも「アドレスAは今のサーバー」「アドレスBはGoogle Workspace」と振り分けること自体は、分割配信で可能です。ただし分割配信はMXレコードをGoogleに向けて、すべての受信メールをいったんGmailで受け取る構成になるため、「まずは一部の人で試したい」という段階では影響範囲が大きくなります。

そこでこの記事では、今のメールサーバーを主系のまま残し、一部のユーザー宛てのメールをGmailにも届ける「二重配信」の手順をご紹介します。以下のような流れになります。

二重配信の流れの図。メールを送る人からのメールはいったん今のメールサーバーに届き、Google Workspaceを利用しない人には現状どおり配信される。Google Workspaceを利用する人宛てのメールは、今のメールサーバーからGoogle Workspaceのメールサーバーへ転送され、Gmailに届く

今のメールサーバーでメールを受け取ってから転送するため、今のメールサーバーは解約せずにGoogle Workspaceと併用運用する事になります。MXレコードは変えないので、Google Workspaceを利用しないユーザーのメールの受け取り方は今までどおりです。

今のメールサーバーから転送する方法は2つ

二重配信で今のメールサーバーを主系にする場合、Gmailへの転送方法は公式ヘルプで次のように案内されています。

  1. サーバーベース転送(推奨):今のメールサーバーから SMTP.GOOGLE.COM へメールを転送する
  2. テストドメイン エイリアスへの転送:サーバーベース転送に対応していないメールサーバーの場合に、ユーザーごとに「[ユーザー名]@[ドメイン名].test-google-a.com」宛てに転送する

まずは今のメールサーバーがサーバーベース転送に対応しているかを確認し、対応していなければテストドメイン エイリアスへの転送を使う、という順番で検討してください。どちらの方法でも、このあと説明する「受信ゲートウェイ」の設定とテスト送信は共通です。

Googleの公式ヘルプには「サードパーティのサーバーに関する問題はサポート対象外」と明記されています。Google Workspace側(管理コンソール・Gmail)の設定はGoogleのサポートに相談できますが、今のメールサーバー側の転送設定は、メールサーバー事業者のマニュアルやサポートで確認する必要があります。

導入方法

それでは導入方法をご紹介します。大まかな流れを通常のGoogle Workspaceの導入方法と比較した図をご覧ください。右が今回紹介する手順になります。

通常の導入手順と一部利用の手順を比較した図。通常はGoogle Workspace登録、ドメイン所有権の証明、ユーザー追加、メールのDNS設定の順。一部利用ではユーザー追加を一部の人だけにし、メールのDNS設定はせず、今のメールサーバーで転送設定を行う

メールのDNS設定(MXレコード)は変更しない

今回重要なのは「メールのDNS設定(MXレコード)は変更しない」ということです。通常のGoogle Workspaceの導入手順ではMXレコードをGoogleに向ける設定を促されますが、これを行うと外部から送信されたメールがすべてGoogle Workspaceのメールサーバーに届くようになるため、Google Workspaceを利用しない人にメールが届かなくなってしまいます。

なお、Google Workspaceにユーザー追加するアドレスは、今のものと同じアドレスで登録してください。MXレコードを変更しない限りは、Google Workspaceにユーザーを追加したことで今のメールサーバーにメールが届かなくなるようなことはありません。

MXレコードは変更しませんが、Google Workspaceを使う人がGmailからメールを送信する場合は、ドメインのSPFレコードにGoogleの送信サーバーが含まれていないと、相手先で迷惑メールやなりすましと判定されることがあります。SPFレコードの確認・統合方法は「Google WorkspaceのSPFレコード設定・確認方法」を参照ください。

今のメールサーバーで転送を設定する

次に、今のメールサーバーからGoogle Workspaceのメールサーバーにメールを転送する設定を行います。

これは、今お使いのメールサーバーの管理画面から行います。設定箇所や対応している転送方法が不明な場合は、システム管理者かメールサーバー業者までお問い合わせください。

方法1:サーバーベース転送(SMTP.GOOGLE.COM へ転送)

メールサーバーがサーバー単位の転送(転送先のメールサーバーを指定する機能)に対応している場合は、こちらが公式の推奨です。Googleの手順では、今のメールサーバーから SMTP.GOOGLE.COM へメールを転送するよう設定します。

具体的な設定画面や、Google Workspaceにアカウントがないユーザー宛てのメールをどう扱うかは、メールサーバーの製品・サービスによって異なります。設定前にメールサーバー事業者のマニュアル・サポートで確認してください。

方法2:テストドメイン エイリアスへ転送する

サーバーベース転送に対応していない場合は、一般的なメール転送機能を使って、ユーザーごとに転送を設定します。

メール転送設定は、今回Google Workspaceを利用する一部のユーザーのアドレスに対してのみ行ってください。

転送設定に必要な情報は以下になります。

転送元メールアドレス:今回一部利用するユーザーのメールアドレス
転送先メールアドレス:[ユーザー名]@[ドメイン名].test-google-a.com

転送先メールアドレスは、Googleが今回のような検証用に用意してくれている「テストドメインのメールアドレス」になります。例えば、suzuki@example.com というメールアドレスであれば、以下のようになります。

転送元メールアドレス:suzuki@example.com
転送先メールアドレス:suzuki@example.com.test-google-a.com

このテストドメインのアドレスは、プライマリドメインのGoogle Workspaceユーザーそれぞれに自動で割り当てられるメールエイリアス(もう一つのメールアドレス)です。suzuki@example.comにメールが送られると、今のメールサーバーからsuzuki@example.com.test-google-a.comにメール転送され、このアカウントのGmailの受信トレイに届くわけです。

なお、テストドメイン エイリアスが割り当てられるのはプライマリドメインのみです。セカンダリドメインのアドレスは、この方法では転送できません。

受信ゲートウェイを設定する

次に、「受信ゲートウェイ」の設定を行います。Googleの公式手順でも、サーバーベース転送・テストドメイン エイリアスのどちらの場合も、今のメールサーバーを受信ゲートウェイとして設定する手順になっています。

なんだか難しそうですが、これは「このサーバーは自社のメールを中継しているサーバーです」とGmailに教えてあげる設定です。主な目的は次の2つです。

  • 今のメールサーバーから大量のメールが転送されても、Gmailが正しく受け取れるようにする
  • SPFのチェックを正確にする(転送されたメールは送信元が今のメールサーバーに見えるため、設定しないと本来の送信元でSPFを判定できず、迷惑メール判定がずれる原因になります)

設定は、Google Workspaceの管理コンソール(admin.google.com)から行います。[アプリ] > [Google Workspace] > [Gmail] > [迷惑メール、フィッシング、不正なソフトウェア] にアクセスします。

Google 管理コンソールの画面。左メニューの「アプリ」から「Google Workspace」、「Gmail」の順に選び、Gmailの設定一覧から「迷惑メール、フィッシング、不正なソフトウェア」を開く操作を赤枠と矢印で示している

次に「受信ゲートウェイ」の項目を開き、「有効にする」チェックをオンにします。設定する項目は以下のとおりです。

ゲートウェイの IP:今のメールサーバーがGmailへメールを送るときのパブリック(グローバル)IPアドレスを「追加」から登録します。IPアドレスが複数ある場合はすべて追加してください。プライベートIPアドレスは登録できません。
外部 IP を自動検出する:オンにしておきます(画面上でも「推奨」と表示されています)。Gmailがメールのヘッダーから本来の送信元IPアドレスを探し、SPFや迷惑メールの判定に使います。
ゲートウェイの IP から届いたものではないメールはすべて拒否する:任意の設定です。オンにすると、登録したゲートウェイ以外から直接Gmailに届いたメールは拒否されます。
接続に TLS を必須とする:任意の設定です。オンにすると、TLSを使わずに接続してきたゲートウェイからのメールは拒否されます。

Gmailの「受信ゲートウェイ」設定画面。「有効にする」をオンにし、「ゲートウェイの IP」に今のメールサーバーのIPアドレスを追加している。「外部 IP を自動検出する(推奨)」はオン、「ゲートウェイの IP から届いたものではないメールはすべて拒否する」はオフにして保存する例

※画像は作成当時の画面です。現在の管理コンソールでは項目名や配置が異なる場合があります。

「拒否する」と「TLSを必須とする」の2つは、一律にオン・オフを決めるのではなく、メールの経路に合わせて判断してください。

  • 非ゲートウェイ経由の拒否:パイロット中はMXが今のメールサーバーを向いているため、正規のメールは基本的にゲートウェイ経由で届きます。ただし、オンにすると想定外の経路(別の中継サーバーなど)から届くメールも拒否されるため、メールの経路をすべて把握できていない場合はオフのまま始め、テスト結果を見てから検討するのが安全です。オンにした場合は、全社導入でMXレコードをGoogleに切り替える前に必ずオフにしてください(そのままだと外部からGmailへ直接届くメールが拒否されます)。
  • TLSの必須化:今のメールサーバーがTLSで転送できることをメールサーバー事業者に確認できた場合にオンにします。対応を確認できないままオンにすると、転送されたメールが届かなくなるおそれがあります。

最後に「保存」を押して設定完了です。設定の反映には時間がかかる場合があるため、テストは少し時間をおいてから行ってください。

■受信メールゲートウェイを設定する – Google Workspace 管理者ヘルプ
https://knowledge.workspace.google.com/admin/gmail/advanced/set-up-an-inbound-mail-gateway?hl=ja

テスト送信して確認する

ここまで設定できたら、実際にメールを送って確認します。社内(Google Workspace内)からではなく、社外のアドレス(個人のGmailなど)から送って確認するのがポイントです。

テストで確認する項目
  • 受信(既存の受信箱):社外のアドレスから一部利用するユーザーのアドレスに送ったメールが、今のメールサーバーの受信箱に届いている
  • 受信(Gmail):同じメールが、該当アカウントのGmailの受信トレイにも届いている(迷惑メールフォルダに入っていない)
  • 利用しない人への影響:Google Workspaceを利用しない人のアドレスにも送り、今までどおり今のメールサーバーにだけ届く
  • 返送エラー:送信元にエラーメール(バウンス)が返ってきていない。返ってきた場合は、エラー本文で転送先アドレスや転送設定を確認する
  • なりすまし・迷惑メール判定:Gmailで受信したメールのヘッダー(メッセージのソース)を表示し、SPFなどの認証結果が意図しない失敗になっていない。迷惑メール判定や警告表示が出る場合は、受信ゲートウェイのIPアドレスと「外部 IP を自動検出する」の設定を見直す
  • 送信経路:Gmailから社外のアドレスに送ったメールが、迷惑メール扱いされずに届く(SPFの設定を確認)。社外からの返信も、今のメールサーバー経由でGmailに届く

全社導入に切り替えるとき

検証の結果、全社員で本導入することになった場合は、MXレコードをGoogleに向ける通常の移行手順に進みます。その際は、今のメールサーバーの転送設定と、受信ゲートウェイの設定(「有効にする」)をオフにしてください。全社員のメールを移行する手順は「レンタルサーバーからGoogle Workspaceへ移行する方法(メール編)」で解説しています。

まとめ

いかがでしょうか。

一部の社員だけGoogle Workspaceを使う方法には、Gmailを主系にする「分割配信」と、今のメールサーバーを主系にする「二重配信」があります。まずは試してみたいという段階であれば、今回ご紹介した二重配信が向いています。

  • 料金がかかるのは、Google Workspaceを利用する一部のユーザー分だけ
  • 今のメールサーバーを主系のまま使うので、検証の結果「Google Workspaceを利用しない」となった場合も、転送設定を止めれば元の運用に戻しやすい
  • 転送方法は、メールサーバーが対応していればサーバーベース転送(SMTP.GOOGLE.COM)、対応していなければテストドメイン エイリアス
  • どちらの方法でも、受信ゲートウェイの設定と、社外からのテスト送信を忘れずに
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